森林の風 植栽木の「推し」   ~ミツマタの効用について~

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こんにちは森林の風事務局です。今回は当団体が植樹において「推し」の樹木を紹介したいと思います。それは菰野富士や当団体の管理フィールドで積極的に植樹しているミツマタです。ここ最近では菰野富士のミツマタはYoutubeでも紹介されています。3月になると三つの又に分かれた枝の先に甘い香りを漂わせ黄色い花を咲かせます。

菰野富士に植樹したミツマタ  桜とアセビとのコラボ 

こちらも菰野富士に植樹したミツマタ6年目

ミツマタはもともと海外(中国)から輸入されたものですが、その樹皮は古くから和紙の原料として活用され丈夫で破れにくく柔軟で耐久性にも優れていることから紙幣の原料としても有名です。すでに帰化されている植物かと思われるます。

ミツマタは鹿の不嗜好性植物です。このことは特に有益な特徴で鹿による侵食圧を受けないということは土砂流失の防止にも繋がります。針葉樹人工林において土壌侵食を防止するには間伐を推進して林床に光を入れ林床植生を回復することです。
しかし、間伐を終え林床植生が回復しているさなか、鹿による食害及び踏み荒らしなどによるいわゆる獣害によりなかなか計画通りに豊かな森へとは回帰しません。鹿による獣害が抑制されるのであれば植生回復への大きな時短に繋がります。

暗い林内に対してミツマタの有効な特徴の一つは高い耐陰性を持つということです。例え針葉樹の樹冠が密閉し光が林床に届きにくも僅かな光があれば枯れることなく生存できるということです。また、ミツマタは樹高が約2mと低木であるため針葉樹と生育競争をすることはありませんし、円球形に枝が伸びまん丸の形になるのでミツマタが密集している分、林床内の占有面積は拡大します。林床面積の多くをミツマタの葉が繁れば地表への雨滴の衝撃を小さくすることができる。それだけでなく実は葉、幹などは地面に落ちる前に、雨水をそのまま蒸発させるそうだ。そうなると大雨による土砂侵食の抑制効果はかなり大きなものとなりますね。


ミツマタの弱点は根が弱く移植が難しいということです。 根が傷ついてしまうと枯れてしまうため、基本的に植え替えはできまん。山に植樹するので基本的に移植はしませんけどね・・・

ミツマタの冬芽は銀白色の絹毛におおわれ春が来るのを待ちます。

コメダの森 ミツマタ植樹地  東海自然歩道沿いなので景観としては良いと思います。

コメダの森には赤いミツマタもあります

三重県美杉村のミツマタ地   コメダの森が目指す姿です(フリー画像からお借りしています)

当団体では数年前よりミツマタを各フィールドで植樹していますが針葉樹人工林で試しているのは今のところコメダの森だけです。早く写真のようになれば良いのにな・・・

黄色の絨毯が引き詰められたようなミツマタ群 三重県美杉村(フリー画像からお借りしています)

三重県にはミツマタが有名な場所、美杉村や亀山市「天空の森」などいくつかあります。菰野町は紛れもない三重県の観光地であるのでミツマタの植樹推進は土砂災害防止と観光集客を兼ね備えた一挙両得なアイテムだと思っています。

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